夢題
あなたはどこまで覚えていますか。
思い出したいのにあやふやで、残っている感覚を掴もうとしても記憶に刻めないもの。
夢ってそういうものだと思う。
夢の中でしか会ったことのない人はいますか。
名前も容姿も覚えていない人。
いつか現実で会えるのではないかって、よく考えていました。
その期待はもちろん叶わぬもので。でも不思議と悲しさはなくて。
記憶の中にいる人は本当は存在しない人、わかってはいるけどね。
たまに悲しくなる時もある。その人が死ぬ夢を見たりすると、現実で僕は涙を流している。
強烈な感情の動きで泣くこともある。
けど、すぐに消えていく感情。
顔を洗えばぼやけて、家を出たらもうその日みた夢のことなんて頭から消えている。
大切だけど知らないこと。
忘れゆくもの、でも確かにあった物語。
あなたにはそんな物語はありますか?